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執筆者の写真濵村裕之

「ラグビー大学選手権、基準値とは」

#4 ラグビーの分析


これまで、濵村式ラグビー勝利の分岐点を通じて様々な試合の結果を紹介してきました。


前回のブログでは、ラグビーの試合の流れをみる「モーメンタム」についてご紹介させていただきましたが、今回はまた違った活用方法をご紹介したいと思います。


どんなビジネスでも組織でも、目標とする数字や基準値をもって運営されていると思います。ラグビーの場合も同様に目標となる数字をもちながら、練習や試合をするというのはどうでしょうか?


アナリストの仕事では、自分たちの現在地を知ることが大切になります。

そのため、シーズン終了後には他チームとのデータなどを比較検証していくことで上位チームに入るための基準値を知り、その基準値との差を知ることで自チームの現在地を把握するようにしています。その多くは、得失点差、トライ数差、セットピース、タックルなどの比較分析になります。


そのような中で、「濵村式ラグビー勝利の分岐点」を活用する方法をご紹介します。

今回は、熱戦が続いた大学選手権の分岐点について見ていきたいと思います。大学選手権で勝つためには、ベスト4に入るためには、どのレベルの基準を日頃からクリアしなければならないのか、大学選手権を目指す大学チームの方は、ぜひ参考にしてみてください。

なお、対象試合は大学選手権3回戦以降の11試合となっています。


 

1)大学選手権―勝利の分岐点

ラグビー大学選手権勝利の分岐点

大学選手権に出場するだけでなく、勝利するためには強豪校を相手に56.7%という高い精度で攻撃することが必要となります。約50回のアタック機会でターンオーバーが許される回数は約16回となります。

通常のリーグ戦では、大学選手権を見据えた目標値の設定とコンスタントにパフォーマンスを発揮できるように試合による出来幅などを注視していくことが重要です。また、日々の練習でもスタンダードをもちながら、選手権で考えられるプレッシャーの中で精度を高めることが重要となるでしょう。何の基準もない感覚だけのスタンダードで練習することは得てして迷走の原因になることもあります。



2)地域別アタック効率

ラグビー大学選手権地域別勝利の分岐点

上表の地域別アタック効率をみると、勝者には次のような特徴が見えてきます。

高いキック効率を背景に自陣からの脱出がしっかりできている。

・中盤でのDF力が非常にすぐれている。

・敵陣22mに入った時の決定力にすぐれている。


少し余談になりますが、試合後に「エリアマネジメント」という言葉をよく耳にします。それだけ多くの試合でポゼッションだけでなくテリトリーも重視されていると言うふうに理解できます。では、エリアマネジメントがうまくいかない場合、どのようなことが問題であると考えるべきか、筆者は次の項目を見ながら向上させるヒントを考えるようにしています。


・地域別アタック効率(地域別のアタック回数に占めるアタック精度)

・地域別キック回数とキック効率

・地域別ターンオーバー回数、ペナルティー回数

・地域別セット獲得率

・キックオフコンプリート率


コーチの理想としては、自陣からもボールを動かしてアタックでき、その中で選手が判断してキックをけることかもしれません。試合の中でモーメンタム(流れ)を掴んでいる状況では積極的にチャレンジすることは素晴らしいことですが、モーメンタムがないときにアタックとキックのバランスをエリア的にどうコントロールしていくかは非常に大切なことだと思います。



3)大学選手権―トライ比較

ラグビー大学選手権トライ比較

今回の大学選手権3回戦以降の11試合の1試合平均のトライ数は8.8個になり、47%のトライがラインアウト、17.5%のトライがスクラムからの起点となり、全体の65%がセットからの起点によるトライとなりました。スクラムでの反則が22m内でのラインアウトにつながることを考えると大学選手権におけるセットの重要性も重要な要素の1つと改めて認識することができました。



4)ベスト4: チーム別分岐点


ラグビー大学選手権チーム別勝利の分岐点

このような感じで、大学選手権のベスト4を目指すのであれば、非常に高い精度がもとめらるということだけでなく、具体的にどれくらいの基準値になるのかということを参考にしながら練習に励んでいけば、いかがでしょうか?


来年度の大学選手権でも素晴らしいラグビーがみれることを楽しみにしています。

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