古巣BL東京の優勝という、大変喜ばしい結果となりました。
しかしながら、決勝の内容は非常にすばらしい試合となりました。
今回のブログでは、その内容を次の2つの視点で見ていきたいと思います。
① 勝利の分岐点
②ラグビーモーメンタム
ラグビー勝利の分岐点
アタック効率は、埼玉の方が高い結果となりましたが、その要因はキックの質によるもので、全体として互角の内容。
こういう僅差の内容での勝負の分かれ目は、22m効率とラインブレイク効率の2つ。
どちらもBL東京が上回り、数少ないチャンスを活かした精度の高さを物語っています。
それに対して、埼玉WKはBL東京よりも敵陣22m内でのアタックチャンスが多かったにも関わらず、珍しく精度が低かったのも試合に大きな影響をあたえることとなりました。
私がいつも基準にしているターンオーバー率(=ボールを失った回数/総アタック回数) 40%以下という数字も東芝が上回っており、こういう決勝の場でこのような精度でプレーできたスキルの高さが大きな勝利につながったと思います。
BL東京が勝った大きな要因として2つ考えております。
1つ目は、セットピースでの優位性、2つ目はDFの素晴らしさです。
前半でスクラムだけでなく、ラインアウトの精度も含めて試合に大きな影響をあたえただけでなく、普段安定したセットとラインアウトの優位性を武器に戦っている埼玉WKに普段の試合をさせなかったFWに拍手をあげたいです。
そして、前半の度重なるトライセービングタックルだけでなく、後半の自陣ゴール前でのDFは試合をさらに引き締める要因になったことは間違いなく、キャプテンとしてタックルをしまくったリーチ選手に拍手したいです。
ラグビーモーメンタム
この表からもわかるように、80分の中でどちらもモーメンタム(試合の流れ、勢い)を掴んだときに確実に得点をしています。
前半
・埼玉最初の流れでPGで得点したあと、お互いに流れを掴めない状況が進みました。
・BL東京は、22分の埼玉ボールのスクラムで反則を勝ち取った流れの中でしっかりトライ
をきめることができました。
・その後は、一進一退の状況が続き、10-6のスコアでハーフタイムを迎えました。
後半
・後半42分の埼玉ボールラインアウトでのエラーでえたスクラム。
・BL東京は、50:22の素晴らしいキックでえた勢いを最後はナイカブラ選手のトライ。
・埼玉は47分と53分のBL東京反則で得た2回のチャンスをものにできず、流れを掴めず。
通常の埼玉は、ここが強みであり、相手チームが嫌がるところです。それは、勝負どころ
を知っていて、そこでしっかり得点をとってくるという嫌なところです。今までも、BL東
京だけでなく、多くのチームが泣いてきた部分ですが、今回はBL東京DFがその大きな流
れを打ち消すすばらしいDFを見せてくれました。
・そうは言っても、終盤の勝負所の埼玉の強さは本物でした。BL東京のターンオーバーで得
たチャンスでロングキックからすばらしいチェイスで、1つのチャンスをトライまでもっ
ていくいやらしさは本物でした。
・こういう試合では、流れで得たチャンスをしっかり得点することも大切ですが、それ以上
に数少ないチャンスをしっかり得点することももっと大切です。それを見せたのが、最後
の10分での攻防だったと思います。
・BL東京はラインアウトのチャンスで10フェーズ以上の粘りのなかで、最後は森選手のト
ライを産む素晴らしいシェイプでのアタックでした。自分たちのアタックを信じた、そし
て「あうんの呼吸」かと思うくらいのオフロードへの反応でした。
・最後の最後に埼玉も意地を見せてトライをとりにいきましたが、結果的にトライが取り消
されてしまいました。これは、勝負のあやとしかいいようがないくらい、素晴らしい攻防
でした。
どちらのチームも最後まで決勝にふさわしいすばらしい試合をみせてくれたことに、改めて両チームに拍手を送りたいと思います。
最後に、東芝の皆さん、本当におめでとうございました。
そして、この優勝にいたるまで関わられた多くの選手、そしてスタッフのみなさん、本当におめでとうございました。
この優勝を誇りに思います。
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