最近海外のラグビーチームでよく使われている言葉が、「Chohesion」コヒージョンです。
簡単に言うと、一緒に隣同士でプレーするチームメイトのことをどれくらい理解してプレーしているか、それによってもたらされる化学反応のような効果を表わす言葉として使われ、選手同士のコンビネーションやプレーーにおける関係性を話すときに海外ではよく使われるようになってきました。
これを、筆者は「あうんの呼吸」という言葉で言い換えています。
辞書でその意味を調べると、「以心伝心」や「力を合わせて一つの物事をするときの、互いの微妙な気持ちや調子。また、それがぴったりと合うこと」となります。
すなわち、長年一緒にプレーしている選手同士ほど、言葉を交わさなくても、お互いの動きなどを理解し、お互いのタイミングを完璧に近い状態で合わせることができることを指し、試合でそう言う呼吸があっているようなコンビネーションプレーをみたときに、特にそれを感じます。
日本代表にエディー・ジョーンズヘッドコーチが就任しましたが、以前にヘッドコーチをしていた際に何度も言及していたのが「チームの総キャップ数」だったと記憶しています。彼は、2015年ワールドカップで結果を出すには、先発15人の総キャップ数が600前後は必要になり、国際試合ではそれだけの経験値が必要になると言っていました。
それだけ、国際試合でのプレッシャーのレベルは高く、それに対応できる経験値が必要という理由から、このような数字がでてきたと思います。
そう言うコメントをしていたヘッドコーチがなぜオーストラリア代表で経験値の少ない選手を選んでフランス大会に臨んだのかは非常に興味深いです。
この「経験値」を言い換えると、どれだけ選手同士が長い時間をかけて一緒にプレーしながら経験を積み上げ、「あうんの呼吸」の状態で相互に化学反応を起こしながらプレーできるのかと言うことになると思います。
一方、今週末で終わるリーグワンに目を向けると、次表のように非常におもしろいデータをみることができます。
セミファイナル出場チーム:総リーグワン出場キャップ数(23人)
埼玉WK | 横浜E | 東芝BL | 東京SG |
813 | 742 | 717 | 604 |
2022年にリーグワンが始まってからの試合数で、トップリーグ時代は含まない。
出場キャップ数は、リーグワンホームページより参照
この表からリーグワンの開幕以降にどれだけの試合を同じメンバーで積み重ねながら現在に至っているのかを見ることができ、非常に白熱したセミファイナルの試合をこのような視点で見返すことも面白いのではないかと思います。
さらに、決勝ではお互いのチームの「あうんの呼吸」をどのように見ていけるのかも非常に楽しみであります。
次の表は、入れ替え戦でプレーしている6チームのデータです。
BR東京 | 三重H | 花園L | 浦安DR | S愛知 | GR東葛 |
549 | 505 | 530 | 514 | 380 | 498 |
多くのチームから退団選手などが発表される時期ですが、トップ4チームとの総キャップ数の差を見ると、長期的な視点でのチーム強化の重要性を改めて感じます。
もちろん、チームの強化には、能力の高い選手を獲得することが大切ですが、それ以上にそれらの選手の中で化学反応を起こすだけの時間を費やすことも、同時に大切なように思います。
大学や高校では、限られた時間のなかで選手を育成し、チームを強化しているので、この視点はあまり参考にならないかもしれませんが、それでもその限られた時間のなかで、できるだけ長く一緒にプレーすることで生まれる効果=コヒージョンについても、選手選考の際には、頭の片隅に置かれてはどうでしょうか?
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